【薬膳の基礎1】「天人合一」「薬食同源」「未病先防」なんて読む? 健やかな食の3つのキーワード


難しいことではなく、薬膳は身近な食材で作る家庭料理のひとつ
近年の健康ブームの勢いはとどまる所を知らず、バラエティー豊かなエクササイズに加えて、日々の食事法もたくさんのスタイルの中から選べるようになりました。そんな中、3000年以上もの歴史がある「薬膳」という食事法に改めて注目が集まっています。薬膳は東洋医学の中に含まれる、中医学の理論をベースにした食養生です。とはいえ「歴史ある」とか「中医学」、さらには「薬膳」といったキーワードが並ぶと、なにやら苦い薬のような味や、特別な食材を集める必要があるのかも……なんて、とっつきにくい料理のような印象を持つかもしれません。

ですが、実は、薬膳の基本を知れば、スーパーで買える身近な食材で、毎日のおいしいごはんが作れるんです。薬膳のもとになる考え方は、いたってシンプル。見たことある方もいるかと思いますが、次の四文字熟語を知っていますか?「天人合一」「薬食同源」「未病先防」ーこれらは中医学の基本となり、薬膳を理解するためのキーワードに。ひとつずつ紹介したいと思います。

①「天人合一」(てんじんごういつ)
中医学を包括した、東洋医学の世界観をあらわす言葉で、「天」は自然環境や宇宙のこと。人間は気候や四季という自然や、昼夜のリズムに影響を受けています。そして、人間の体の中で起こるさまざま生命現象も、自然と強く結びついていることから、人間もまた自然の一部だと考えます。自然や環境からの影響、心と体のバランス、それらすべてを踏まえて、食事をしていくのが薬膳の醍醐味です。

 ②「薬食同源」(やくしょくどうげん)
 私達が普段食べている身近な食材には、薬と同じように、体を元気に整える働きを持っていると考えます。昔々の中国では、宮廷に食べ物で病気を治す医者「食医」も仕えていたといいます。ちなみに、日本で「薬」という漢字を使うと、化学薬品と間違われやすいことから、日本では「薬」を「医」に変えた「医食同源」という四文字熟語が主流になったようです。
③「未病先防」(みびょうせんぼう)
「未病」とは、病気ではないけれど、心や体に現れている不調のこと。未病先防は、日々の養生によって、これらの不調を未然に防ぐことです。自分を観察する習慣がつくことで、心と体が発するシグナルをいち早くキャッチして、その都度、最適な対処を選べるようになることが可能に。ひいては、ヨガなどと同様に、自分を知るためのツールとしても役立ちます。

例えば、貧血気味だなと感じたら「血を補う食材(例えば、人参、ほうれん草、あさり等)」を選び、冬の寒さから血行不良を引き起こし、つらい冷えを緩和したい時には「体を温め(鶏肉)、気血の巡りを促す食材(ニラ、玉ネギ等)」を使うなど、自分の体に足りない要素を、身近な食材の力を借りて補うこと。つまり、食材の効能を考えて、体調や自然環境の変化に合わせて作る食事を「薬膳料理」と呼びます。

もちろん、状況によっておすすめしない食材や調理法もあるのですが、基本的には「あれはだめ、これはだめ」という精神的にも重圧がかかるような厳しい節制を設けるものではありません。例えば、お酒と豪華な食事を楽しんだ日があれば、翌日の朝は「消化を助ける温かいスープやお粥でおなかをいたわろう」というように、心と体に過度な負担をかけず、バランスを調整していく方法でもあります。目指したいのは、「美味しく食事をしていたら、なんだか最近調子がいい!」ということです。もうひとつ、薬膳は「料理」「食養生」といいながら、実は「食べる」だけではないんですね。季節の変化や体質の傾向、生活習慣など、食事を含めた暮らし方を総合的に見直していく「生活養生」も大切にしています。

続いて、人体を構成する基本物質「気・血・水(体質)」についてお伝えしていきます。薬膳では、体内にある「気・血・水」の量が適切で、これらが滞りなく十分巡ってることが「健康の証」なのです。これらのバランスの簡単なチェック方法と、それぞれの働きを助ける食材や、暮らし方のコツなどについてもご紹介していきます。

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季結び庵
村上華子


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